2026年に入り、YouTubeから今後の方向性を示す発表がいくつも出ています。なかでも「Ask YouTube」という新しい検索機能は、動画の探され方そのものを変える可能性がある変化です。
難しい専門用語も多く登場するため、「結局、自社の発信にどう関係あるの?」と感じてしまったことはありませんか?
この記事では、YouTube公式の発表をもとに、企業の担当者が知っておきたい2026年の変更点を、専門用語の説明も交えながらやさしく解説します。
目次
Ask YouTubeとは?
Ask YouTubeとは、2026年5月にGoogle I/O 2026で発表された、会話形式でYouTube内を検索できる新しい機能です(YouTube公式ブログ)。
これまでのYouTube検索は「キーワード」を入力して探す形が基本でした。Ask YouTubeでは、「子どもに自転車の乗り方を教えるコツを知りたい」「寝る前にできる、まったりしたゲームのレビューが見たい」のように、文章での質問がそのまま検索クエリになります。
さらに、最初の回答に対して「もっと詳しく」「別の切り口で」といった追加の質問(フォローアップ)を重ねて、欲しい情報に近づいていくことができます。
Ask YouTubeは、長尺動画とShorts(縦型の短い動画)の両方を横断して、質問に関連性の高い動画をまとめ、構造化された形で提示します。2026年5月にアメリカの18歳以上のPremium会員向けにまず提供が始まり、7月6日には対象がサインイン済みの13歳以上のデスクトップ利用者(英語検索)にまで広がりました。ただし、サインアウト状態のユーザーや保護者管理下のアカウントは、引き続き対象外です。
ただし現時点では提供地域がアメリカに限られており、日本を含むそれ以外の国・地域への展開時期は、まだ正式に発表されていません。
企業の発信にとって重要なのは、動画が「キーワードに一致するか」だけでなく、「質問の意図にどれだけ的確に答えているか」で見つけてもらえる場面が増える、という点です。たとえば「地域名 業種 口コミ」のような単語の組み合わせで探す代わりに、「〇〇について、丁寧に説明してくれるお店を探している」のように、文章で話しかけるように調べるユーザーが増えていくことも考えられます。
タイトルやキーワードを詰め込むだけでなく、視聴者がどんな疑問を持って検索しているかを想像した構成が、これまで以上に意味を持つようになりそうです。
記事の「見出し」と同じ考え方で理解する
Ask YouTubeは、動画をまるごと1本ではなく、その中の「該当する部分」を切り出して回答を作る仕組みだと海外の解説記事では紹介されています。これは、Webサイトの記事における「見出し(H2・H3)」の役割と似ています。
記事では、見出しごとに1つの疑問に答える形で内容を区切ることで、読者にもAIにも「ここに何が書いてあるか」が伝わりやすくなります。動画の場合は、この見出しにあたるのが「チャプター(区切り)」です。
チャプターの区切り方や、字幕・文字起こしの正確さが、動画のどの部分が何を説明しているかをAIに伝える手がかりになる、という考え方です。
つまり、記事のSEO対策で意識されてきた「見出しを分かりやすくする」「内容を正確に書く」という基本は、動画の世界でも同じように大切になってきている、ということです。
日本でも使える「質問する」機能にも要注目
「Ask YouTube」はまだアメリカ限定ですが、似た名前の別の機能はすでに日本語でも使えるようになっています。
動画プレイヤーの下に表示される「質問する」ボタン(Geminiを搭載した会話型AIツール)は、今見ている動画の内容について質問できる機能です。Google公式のヘルプページによると、日本語を含む多数の言語、日本を含む多数の国・地域ですでに提供されています(YouTube公式ヘルプ)。
「Ask YouTube」がサイト全体を横断して動画を探す検索機能なのに対し、「質問する」は今視聴している1本の動画の内容にその場で答える機能です。名前が似ていて紛らわしいのですが、別の機能だと理解しておくと混乱しません。
そして両者に共通しているのが、回答の多くが動画の「チャプター」から引き出されている点です。「質問する」でも、動画のどの部分が何を説明しているかをチャプターの区切りや字幕の正確さから判断して回答をつくっていると考えられます。
つまり、「Ask YouTubeが日本に来るのはいつか」を待つよりも先に、すでに使える「質問する」機能のためにも、チャプター構成を整えておく意味があるということです。
動画の見出し(チャプター)を分かりやすく区切っておくことは、遠い将来の対策ではなく、今すぐ効果が出せる取り組みだと言えます。
Shortsが1日200億回再生に
YouTubeのCEOであるニール・モーハン氏は、2026年1月の年次レターの中で、Shortsが1日あたり200億回再生に到達したと明らかにしています(YouTube公式ブログ)。
Shortsは今後、画像投稿などの新しい形式もフィードに組み込まれ、より多様なコンテンツが並ぶ場になっていく方針も示されました。
短い動画への注目度は、引き続き高い水準にあると言えそうです。
AIで作った動画は「開示」が必要に
同じレターの中では、AIに関する方針も示されています。YouTube自身のAI機能で作られたコンテンツには公式のラベルが付けられるほか、本物そっくりに加工された動画や、AIで生成されたリアルな内容の動画については、クリエイター自身が開示する義務があるとされています。
これは、視聴者が「これは本物の映像なのか、AIで作られたものなのか」を判断できるようにするための方針です。
企業がAIを使って動画を制作する場合も、この開示ルールを踏まえておく必要があります。
「AIスロップ」対策の強化
「AIスロップ」とは、AIによって大量生産された、質の低いコンテンツを指す言葉です。YouTubeは、スパムや釣り的なサムネイル・タイトルへの対策の延長として、こうした低品質なAIコンテンツの拡散を抑える取り組みを強化する方針を示しています。
AIツール自体は、2025年12月には1日あたり平均100万を超えるチャンネルが利用していたとされ、動画制作の手段としてはすでに広く浸透しています。
ただし、YouTubeが重視しているのは「AIを使ったかどうか」ではなく「視聴者にとって見る価値があるかどうか」だという点は、企業が発信を考えるうえでも参考になる姿勢です。効率化のためにAIを活用すること自体は否定されていない、という点も押さえておきたいところです。
YouTube TVも変化:大画面での視聴が広がる
YouTubeは、スマートフォンだけでなく、テレビの大画面で見られる存在としての位置づけも強めています。アメリカでは、ニールセン社の調査によるとYouTubeがストリーミング再生時間で3年近く1位を維持しているとされています。
複数の番組を同時に映せる「マルチビュー」機能や、スポーツ・エンタメ・ニュースなど分野に特化した10種類以上のYouTube TVプランが、2026年に順次登場する予定です。
企業の発信という観点では、YouTubeがスマートフォンだけでなく、リビングの大画面でも見られる場になりつつあるという点が押さえておきたいポイントです。
縦型のShortsはスマートフォンでの視聴を前提に作られることが多いですが、長尺動画については、大画面で見られても違和感のない画質・構成になっているかを、あらためて確認しておく価値がありそうです。
ショッピング機能の拡大
YouTube上で動画を見ながら、そのままアプリを離れずに商品を購入できる仕組みも拡大しています。すでに多くのクリエイターがYouTube Shopping機能を実際に活用しており、動画の中で紹介された商品をその場で購入できる導線が整えられつつあります。
商品やサービスを扱う企業にとっては、動画から購入・問い合わせにつながる導線が、プラットフォーム側の機能としても強化されている状況です。
「動画を見てもらう」ことがゴールではなく、「見た後にどう行動してもらうか」までを踏まえて動画を企画する意識が、これまで以上に成果につながりやすくなっていると言えます。
これらの変化から、今のうちに考えておきたいこと
今回の発表を踏まえると、細かい施策以前に、次のような視点を持っておくと今後の判断がしやすくなりそうです。
- Ask YouTubeを踏まえて:動画のタイトルや構成を考えるとき、「検索されそうなキーワード」だけでなく、「視聴者が実際にどんな疑問を持って探しているか」という視点も合わせて意識してみる
- 「質問する」機能を踏まえて:日本でもすでに使える機能である以上、チャプターの区切りや字幕の整備は先延ばしにせず、今のうちに整えておく
- Shorts・TV双方の広がりを踏まえて:スマートフォンの縦画面だけでなく、大画面で見られる可能性も念頭に置いて、長尺動画の画質や構成を見直してみる
- AIの開示ルールを踏まえて:AIを活用しつつルールを守るのはもちろん、「人の手による丁寧さ」自体を発信の中で伝えていくという考え方も、これからは差別化につながりやすくなるかもしれません
どれも今すぐ大きく方向転換する必要があるものではありませんが、次の企画を考えるときに頭の片隅に置いておくと、判断のスピードが変わってくるはずです。
動画の「見つけられ方」が変わる時代に、今できること
2026年のYouTubeは、Ask YouTubeによる会話形式の検索、Shortsのさらなる拡大、大画面での視聴を意識したTV機能の強化、AIコンテンツの開示ルール、そしてショッピング機能の拡大など、いくつもの変化が同時に進んでいます。
なかでもAsk YouTubeは、動画の「見つけられ方」そのものに関わる変化です。これまでYouTubeは「動画を見る場所」という側面が強調されがちでしたが、Ask YouTubeの登場によって、検索エンジンとしての役割もこれまで以上にはっきりしてきたと言えそうです。
キーワードを意識した発信に加えて、視聴者が実際にどんな疑問を持っているかを踏まえた企画が、これまで以上に重要になっていきそうです。
なお、Ask YouTube自体はまだアメリカ限定ですが、似た仕組みで動く「質問する」機能はすでに日本語でも使えます。「いつか対応する将来の話」ではなく、チャプター構成を整える取り組みは今すぐ始められるものだと捉えておくとよさそうです。
弊社では、こうしたプラットフォームの変化を踏まえながら、御社の強みとユーザーのニーズをつなぐ動画運用を支援しています。「今のやり方のままで大丈夫か」と気になる段階でも、まずは状況を一緒に整理するところから始められます。お気軽にご相談ください。
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