「検索回数が月に10回しかないキーワードで記事を書いても、意味がないのでは?」——キーワードを選んでいるとき、そんなふうに手が止まったことはないでしょうか。

実は、検索回数が少ないキーワードには、数字だけでは見えない価値があります。目的がはっきりしている読者ほど、長く具体的な言葉で検索しているからです。

この記事では、ロングテールキーワードの基本的な考え方と、自社サイトの状況に合った狙い方・探し方を解説します。

ロングテールキーワードとは

ロングテールキーワードとは、複数の言葉を組み合わせた、検索回数は少ないものの目的がはっきりしているキーワードのことです。

スマホを例に考えてみましょう。「スマホ」という1語は月に何十万回も検索されますが、調べている目的は人によってバラバラです。機種を探している人もいれば、料金プランを見直したい人も、使い方に困っている人もいます。

一方で「スマホ 充電 減り 早い 対策」と検索する人はずっと少数です。けれどこの人が何に困っていて、何を知りたいのかは、言葉を見ただけではっきり分かります。

もうひとつ大切なのは、こうした言葉で検索する人は、行動の一歩手前にいることが多いという点です。「スマホ 充電 減り 早い 対策」と打つ人は、今まさに解決策を探しています。記事が答えになれば、設定の見直しやバッテリー交換、買い替えの検討といった次の行動に、そのままつながっていきます。

「ロングテール(長い尻尾)」という名前は、キーワードを検索回数の順に並べたときの形から来ています。検索回数の多い少数のキーワードが頭で、その後ろに、検索回数の少ない無数のキーワードが長い尻尾のように続く。尻尾の一つひとつは小さくても、すべて合わせると頭よりも大きな面積になります。

「検索回数がある程度あるキーワードを選ぶ」は、いつでも正解か

キーワード選定の解説では、「検索回数がある程度あるキーワードを選びましょう」と案内されることが多くあります。

これ自体は間違いではありません。誰にも検索されない言葉で記事を積み上げても、読まれる機会そのものが生まれないからです。

ただ、この案内にはひとつ前提があります。検索回数のあるキーワードは、それだけ多くのサイトが狙っているということです。実際に検索してみて、上位に並ぶのが大手メディアや長年運用されているサイトばかりなら、同じ土俵で戦えるかどうかは、自社サイトの状況次第になります。

「教科書どおりにキーワードを選んでいるのに、順位がつかない」と感じているなら、選び方が間違っているのではなく、選び方がサイトの現在地と合っていないのかもしれません。

あなたのサイトの状況で、狙うべきキーワードは変わる

では、自社の現在地はどう判断すればいいのでしょうか。見るべき材料は主に6つあります。

  • ドメインの運用歴:立ち上げたばかりのサイトや、更新が長く止まっていたサイトは、検索回数の多いキーワードでは評価が追いつきにくい状態です。まずはロングテールで確実に拾うほうが結果につながります。
  • 記事数:蓄積が少ないうちは、1本で大きく狙うより、関連するロングテールキーワードで記事の面を作っていくほうが、サイト全体の評価も育ちます。
  • 競合の数と強さ:狙いたいキーワードで実際に検索して、上位10件を見てみましょう。並んでいるのが企業の公式メディアばかりか、個人ブログも混ざっているかで、入り込む余地は大きく変わります。
  • 競合がまだ書いていないテーマ:新しく生まれた言葉は、ツールに検索回数の数字すら表示されないことがあります。それは「価値がない」のではなく「まだ誰も狙っていない」だけかもしれません。
  • 既存記事とのつながり:過去に同じジャンルの記事を投稿しているかどうかも重要です。同じテーマの蓄積があるサイトの記事は評価されやすく、逆にまったく毛色の違う1本は、内容が良くても伸びにくい傾向があります。
  • 自社サービスとの距離:そのキーワードは、自社のサービスのジャンルと近いでしょうか。遠いキーワードで集めたアクセスは問い合わせにつながりにくく、サイトの専門性も薄まってしまいます。

この6つの材料は、弊社自身がいま検証しているところでもあります。長く更新が止まっていたサイトで更新を再開し、施策の効果を確かめている最中です。

そこで狙ったのは、ツールに検索回数が表示されないキーワードでした。ただし、ひとつ条件を付けています。検索窓に入れるとサジェストには候補として出てくる言葉であること。サジェストに出るなら、実際にその言葉で検索している人がいるということです。ツールの数字がゼロでも、需要がないわけではありません。

そのうえで「競合がまだ書いていない」「自社の専門ジャンルに近い」の2点も確認して公開したところ、狙った3語の組み合わせで上位に表示されることを確認できました。検証はまだ途中ですが、検索回数の数字だけで判断しなくてよさそうだ、という手応えはあります。

6つすべてを厳密に調べる必要はありません。おすすめは、キーワード候補を前にしたときに「上位10件に勝てそうか」「自社の既存記事やサービスとつながるか」の2つだけでも自問してみることです。この2つに手応えがあるキーワードは、検索回数が小さくても書く価値があります。

6つの材料はどれも、ツールの画面だけでは分かりません。実際に検索して、自社の記事一覧を眺めて、サービスとの距離を考える。この一手間が、教科書どおりの選び方との差になります。

なお、記事制作やキーワード選定を外注しようと考えている場合も、この6つの材料は役に立ちます。提案されたキーワード案を見るとき、検索回数の大きさだけで並んでいないか、自社のサービスや既存記事とのつながりまで説明されているかを確認してみてください。「なぜ御社にはこのキーワードなのか」を状況から説明できる相手かどうかは、依頼先を選ぶひとつの目安になります。

ロングテールキーワードの見つけ方

探し方は、特別なツールがなくても始められます。

まずはサジェストです。検索窓に軸になる言葉を入れると表示される候補は、実際に検索されている組み合わせです。候補の言葉をさらに入力して、もう一段深い候補を見ていくと、より具体的な悩みの言葉が見つかります。

検索結果の途中に表示される「他の人はこちらも質問」も見逃せません。ここに並ぶ質問は、そのキーワードを調べた人が続けて知りたくなったことの記録です。記事の見出しの候補としてそのまま使えることもあります。

Q&Aサイトも役立ちます。質問文はまさに「読者の生の言葉」で、検索窓に打ち込まれる前の、悩みそのものの形をしています。

そしていちばんの宝の山は、お客様から実際に聞かれた質問です。商談や問い合わせで受けた質問は、同じ悩みを持つ誰かが検索している可能性が高い言葉です。「よく聞かれるけれど、そういえば記事にしていない」という質問があれば、それはロングテールキーワードの種と言えます。

AIに探してもらうときのプロンプト

候補を広げる作業は、AIに手伝ってもらうこともできます。コツは、誰がどんな場面で検索するのかまで指定することです。

「『スマホ』の買い替えを考えているシニアの家族が、機種を決める直前に検索しそうな4語以上のキーワードを20個挙げてください。それぞれ、検索する人が何に困っているかも1行ずつ添えてください」

このように場面を絞ると、「スマホ おすすめ」のような一般的な候補ではなく、具体的な状況の言葉が返ってきやすくなります。検索する本人(シニア)と調べている人(家族)が違う、という場面設定も、ロングテールキーワードが生まれやすい典型的な状況です。

20個の候補が出てきたら、次は絞り込みです。ここで先ほどの6つの材料が活きてきます。全部を記事にするのではなく、「自社のサービスに近いか」「既存の記事とつながるか」で残すものを選ぶ。AIは候補を広げるのが得意で、絞り込みの判断は人の仕事、という分担です。

ひとつ注意したいのは、AIが答える検索回数の数字は、実際のデータに基づかないことが多い点です。数字の確認は必ずツールで行いましょう。キーワード選定の基本的な用語や手順については、キーワード選定の基本用語とは?サジェスト・共起語・検索ボリュームの使い分けで詳しく解説しています。

1つの記事が、複数のキーワードの入り口になる

ロングテールキーワードを意識した記事には、もうひとつ嬉しい性質があります。狙ったキーワードだけでなく、想定していなかった言い回しでも見つけてもらえることが多いのです。

理由は記事の作り方にあります。見出しごとにひとつの疑問へ答える構成にしておくと、それぞれの見出しが、別々の検索の入り口として働きます。1本の記事なのに、入り口は見出しの数だけある、という状態です。

また、Googleは言葉の言い換えを理解します。記事の中で読者の悩みに丁寧に答えていれば、まったく同じ言葉を使っていなくても、意味の近い検索で拾われるようになっています。

先ほどの、検索回数が表示されない3語のキーワードで公開した記事にも、続きがありました。しばらくして確認すると、より短い2語の組み合わせでも上位に表示されるようになっていたのです。

検索回数の少ない言葉から入って、結果として検索回数の多い言葉にも届いた形です。ロングテールキーワードで上位に入ること自体は、競合が少ないのですから難しくありません。狙いたいのはその先で、1本が入り口になって、もっと大きなキーワードへの評価につながっていくところです。1本の記事が果たす仕事は、キーワード表の1行分よりずっと大きくなる可能性があります。

だからこそ、キーワードは「1記事1テーマ」で選びつつ、記事の中では読者が続けて抱きそうな疑問まで丁寧に拾っておく。この作り方が、あとから効いてきます。

やりがちな失敗

ロングテールキーワードを狙ううえで、避けたい進め方もあります。

ひとつは、関連性を考えずに記事を量産することです。ロングテールは「面」で効いてくる戦い方なので、テーマがバラバラの記事を増やしても、サイトとしての評価は育ちません。同じジャンルの中で少しずつ広げていくのが基本です。

もうひとつは、1つの記事に複数のキーワードを詰め込むことです。ロングテールキーワードは目的が具体的なぶん、1記事1テーマで深く答えるほうが読者にもAIにも伝わります。

そして、ツールの数字がゼロだから価値がない、と切り捨ててしまうこと。この記事で見てきたとおり、数字は過去の記録であって、これから検索される言葉の価値までは教えてくれません。

小さく確実に拾うことから

検索回数が少ないキーワードは、決して「弱いキーワード」ではありません。目的のはっきりした読者に確実に届く、精度の高い入り口です。

大きなキーワードで戦えるかどうかはサイトの状況次第ですが、ロングテールキーワードは、どんな状況のサイトでも今日から積み上げられます。まずは、お客様によく聞かれる質問をひとつ、記事にしてみるところから始めてみてはいかがでしょうか。

弊社では、キーワード選定から記事制作まで、御社のサイトの状況に合わせた進め方で支援しています。「どのキーワードから手をつけるべきか」という段階のご相談でも、まずは現在地を一緒に整理するところから始められます。お気軽にご相談ください。

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