アクセス解析を開くたびにグラフは右肩上がり。PVもセッション数も先月より伸びている。それなのに、問い合わせフォームだけは静かなまま——。そんな状態に心当たりがあるなら、原因は「記事の力が足りない」せいだとは限りません。

そもそもPV(アクセス)と問い合わせは、別ものです。片方が増えても、もう片方が自動でついてくるわけではありません。だからこそ「もっと記事を増やそう」と手を動かす前に、どこで止まっているのかを見つけるのが先決です。

この記事では、問い合わせが来ない7つの原因を「見分け方」と「最初の一手」つきで解説します。まずは全体像から見ていきましょう。

まず切り分ける。「PVが増えた」と「必要な人に届いた」は別

最初に、増えたアクセスの中身を見てください。ひとくちに「アクセスが増えた」と言っても、情報を集めているだけの読者が増えたのか、それとも「そろそろ頼もうか」と検討している読者に届いたのかで、意味はまったく変わります。

検索する人の目的を分ける考え方(Know/Do/Go/Buy)そのものは、AI時代の検索意図とは?正しく伝えるコツとプロンプト例つきで解説で解説しています。この記事では定義には立ち入らず、「集めている層と、問い合わせしたい層がずれていないか」という一点に絞って見ていきます。

アクセスを増やすこと自体が目的になると、購入や依頼の意欲が薄い層ばかりが集まりやすくなります。数だけを追いかけると、たくさん読まれているのに問い合わせにはつながらない、という状態が起きます。

逆に言えば、問い合わせも「多ければ多いほどいい」わけではありません。自社が対応できる量とのバランスもあり、大切なのは「必要な人に、ちょうどよく届く」ことです。

誤解のないように付け加えると、アクセスは要らないという話ではありません。問い合わせは、届いた人の中からしか生まれません。アクセスがなければ何も始まらないけれど、アクセスだけでは足りないのです。

集客そのものの進め方はオウンドメディアで集客するのは簡単?失敗例と3つの成功のコツで扱っています。この記事で見ていくのは、集めたあとに詰まる場所です。

問い合わせが来ない7つの原因

原因は大きく7つに分かれます。それぞれ「見分け方」と「最初の一手」がセットになっているので、まずは自分のサイトがどれに当てはまりそうかを見つけてください。当てはまるものが複数あっても大丈夫ですし、どれから手をつけるかは次の見出しでお伝えします。

原因1|集めているキーワードが情報収集層ばかり

見分け方は、Search Console(サーチコンソール)の検索キーワードを表示回数の多い順に並べてみたときに、「◯◯とは」「◯◯ 方法」のような知りたいだけの言葉が中心になっていないか。そうであれば、集まっているのは情報収集の段階の読者です。読み物としての価値はあっても、その場で問い合わせに動く人は多くありません。

最初の一手として、検討段階の読者が使う言葉(比較・選び方・料金の目安・依頼のタイミングなど)の記事を少しずつ足していきましょう。情報収集向けの記事は、資産としてそのまま残して大丈夫です。

原因2|集客キーワードが自社サービスと遠い

これは、よく見かける形です。たとえば地域密着のサービス業なら、自社の商圏ともサービスとも関係のない言葉で上位に表示され、特定の1本にアクセスが集中している場合があります。企業のお役立ちコラムでも同じことが起きます。

よく読まれているのは、提供しているサービスとつながらないテーマの記事だけ、という状態です。数字は好調に見えても、その読者の多くは顧客にはなりにくいのです。

見分け方は、「この記事に来た人は、うちのサービスを必要とするだろうか」と一本ずつ問い直せるか。最初の一手は、遠い記事を無理に伸ばそうとせず、サービスに近いテーマの記事を増やして、来てほしい層の入り口を作ることです。

原因3|記事とサービスページの内容が一致していない

読者が記事で「これはまさに自分の悩みだ」と感じても、進んだ先のページがその悩みに答えていないと、気持ちはすっと冷めます。問い合わせにつながる記事には、共通点があります。

  • 悩みに正面から答えている:「まさにこれを解決したかった」という悩みに、記事とその先のページが噛み合っている
  • 判断の材料がそろっている:サービス内容や料金の目安が書かれていて、読者が自分で見当をつけられる
  • 依頼したあとがイメージできる:問い合わせの先にどんな流れが待っているかが分かる

この3つがそろうと、読者が次の一歩をためらう理由はぐっと減ります。見分け方は、よく読まれる記事の着地先を自分でたどったとき、悩みと答えがつながっているか。最初の一手は、記事で立てた問いに、リンク先がきちんと答えている状態へ整えることです。

原因4|問い合わせへの導線がない、または弱い

どれだけ良い記事でも、次にどこへ行けばいいのかが書かれていなければ、読者はそのまま離れやすくなります。効果が出やすいのは、読者が他サイトへ移ってしまう前に、自社の関連ページへ内部リンクで自然に案内する形です。

見分け方は、アクセスの多い記事を上から数本読み返してみて、「次に見てほしいページ」への案内が本文の中にあるか。最初の一手として、いちばん読まれている1本に、関連するサービスページへのリンクをひとつだけ置いてみてください。

置いたあとに、その記事から次のページへ進む人がいるかどうかで、導線が効いているかを確かめられます。リンクの位置や添えるひとこと、見せ方によっても進む人の数は変わります。

原因5|CTAが読者の段階に合っていない

検討し始めたばかりの読者に「お問い合わせはこちら」だけを見せても、ハードルが高くて動けません。段階の合わない呼びかけは、関心を取りこぼします。

見分け方は、記事の呼びかけが「問い合わせ」の一択になっていないか。最初の一手は、資料請求や事例集のダウンロードなど、もう少し軽い中間の受け皿を用意することです。

原因6|検討材料(比較・判断基準)を用意していない

読者は依頼を決める前に「どう選べばいいのか」「何を基準に比べるのか」を知りたがります。その材料がサイトになければ、答えを探しによそへ行き、そのまま戻ってこないことも起こります。

見分け方は、「選び方」「比較の観点」「判断の基準」に答える記事があるか。最初の一手は、検討段階の読者がつまずく問いに答える記事を、優先して1本用意することです。

原因7|どの記事が問い合わせに効いているか計測できていない

どの記事が問い合わせにつながっているかが見えなければ、正しい対策は選べません。アクセス数だけを見ていると、伸ばすべき記事も直すべき記事もわからないままです。

見分け方は、問い合わせに至るまでの経路(どの記事を経由したか)をたどれる状態になっているか。最初の一手として、GA4で問い合わせをキーイベントに設定しましょう。どの記事から問い合わせに至ったかを追えるようになります。

Search Consoleは「どんな検索語で入ってきたか」を補う役割なので、GA4と合わせて見ると、入り口から成果までがつながります。

原因1から6までは、記事とページを自分の目でたどれば見当がつきます。ただ、その見当を確信に変えて優先順位を決めるには、数字が要ります。計測がそろうと、感覚で選んでいた対策を、根拠のある一手に変えられます。

相談を受けている中で実際にいちばん多いのは、7つの原因のうち原因5「CTAが読者の段階に合っていない」です。

典型的なのが、記事の最後を「〜のことなら弊社にお任せください」で締めるパターンです。困っている読者に向けてはっきり手を差し伸べる書き方なので、そう締めくくりたくなるのは自然なことです。

ただ、その記事にたどり着いた読者がまだ「情報を集め始めたばかり」の段階だと、話は変わってきます。依頼を前提にした呼びかけは、読者が今いる場所より一歩も二歩も先を向いています。届いているようで、届いていないのです。

だからこそ、読者がいまどの段階にいるかに合わせて、紹介の仕方を変えていくことが大切です。

あなたのサイトの状況で、直す順番は変わる

7つの原因を並べると、つい全てをまとめて直したくなります。けれど、手をつける順番はサイトの状況によって変わります。同じ労力でも、順番次第で数字の動き方は違ってきます。判断の材料になるのは、これまでに書いてきた記事数、サービスと集客テーマの距離、いまある導線の状態。そして、どんな競合が並んでいるのか。

まだ記事数が少ない立ち上げ期なら、導線やCTAを細かく作り込むより先に、サービスに近いテーマの記事を増やして「来てほしい層の入り口」を広げるほうが効きます。

反対に、記事の蓄積が十分にあってアクセスも来ているのに問い合わせが動かないなら、原因は入り口ではなく途中にあることが多いので、導線とCTA、記事とサービスページの一致を見直すのが先です。

サービスと集客テーマの距離が遠いとわかっているなら、いま当たっている記事をどう活かすかを考えるより先に、サービスに近いテーマを1本書いてみるほうが早く答えが出ます。遠い記事のアクセスは資産として残したまま、近いテーマで反応が出るかを確かめる——その1本が、次にどこへ力を入れるかを決める材料になります。

競合が大手ばかりで真正面から戦うのが難しいテーマなら、まだ誰も丁寧に答えていない検討段階の問いを拾うほうが近道です。

大事なのは、全部を同時に直そうとしないこと。いまの自分のサイトはどの状態に近いかを見極めて、いちばん効く一か所から順に手をつけていきましょう。

自分で確認できること・外注を検討するタイミング

7つの原因は、実はかなりの部分を自分で確認できます。増えたアクセスの中身を見る、問い合わせに至った経路をアクセス解析ツールでたどる、よく読まれる記事の着地先が悩みに答えているかを確かめる——この3つは、専門知識がなくても始められます。まずは手元で点検してみてください。

そのうえで、外注を検討するタイミングもあります。導線の設計、CTAやフォームまで含めた問い合わせ数の改善、記事とサービスページの連携といった、設計と改善がからむ部分は、社内だけで手が回らないときに頼る価値があります。

弊社が担当したサイトで、次のような改善を実施しました。

記事の網羅性を高めた:検索キーワードに対して、ユーザーが知りたいことだけでなく、それを理解するための周辺の疑問まで盛り込んだ記事にしました。そのうえで最後に、自社なら何を解決できるのかを、難しい表現を避けて書き添えました。

売り込み色を弱めた:記事の途中に強い売り込みの表現が目立つ構成になっていたのを見直し、ユーザーファーストな書き方に切り替えました。

その結果、問い合わせ件数が3倍になったケースがありました。ただ、どのくらい動くかはサイトの状況によって変わります。

外注を考えるときは、発注する側が「何をゴールにするか」を先に決めておきましょう。アクセスを増やすこと自体は正当な仕事で、集客が課題ならアクセスに投資する判断もあります。問題が起きるのは、発注側の目的が問い合わせなのに、合意したゴールがPVのままだったときです。

相談に臨む前に、成果を何の数字で見るか、その数字をどう計測するかを、自分たちの言葉で決めておく。この2つが決まっていれば、提案のよし悪しは自然と見分けられます。

AIに「どの記事が問い合わせに近いか」仮説を立ててもらう

原因の切り分けには、AIに壁打ち相手になってもらうのも有効です。記事の一覧と、それぞれのおおまかな成果傾向(よく読まれている、問い合わせにつながっていそう、など)を渡したうえで、こう聞いてみます。

「以下は当社ブログの記事一覧と、それぞれのおおまかな成果傾向です。(一覧を貼る)
問い合わせにつながっていそうな記事に共通する特徴を3つ挙げてください。
そのうえで、その特徴を持つ、まだ書いていない隣接テーマを5つ提案してください。
それぞれ、なぜ問い合わせに近いと考えたのか理由も添えてください」

こう聞くと、自分では気づかなかった仮説が出てくることがあります。次に書くテーマの当たりをつけるのにも使えます。

ただし、渡してよい情報には線引きが必要です。顧客情報や、まだ公開していない売上などの機密は、AIに渡す情報から外しておきます。

また、AIが出した「このキーワードは検索数が多い」「この記事の順位はこのくらい」といった数字には、推測が混ざります。順位や表示回数はSearch Console、サイト内の動きはGA4、検索ボリュームはキーワードプランナーなどのキーワードツール——数字ごとに見る場所を決めて、実データで裏を取ってから使います。

AIは仮説を広げるのは得意ですが、事実の確定は手元のデータで行うのが安全です。

AI検索の露出も、最後は「問い合わせ」で見る

近年は、検索エンジンだけでなくAIを介した検索からの流入も現れはじめました。経由元がきれいに切り分けられないぶん測りにくい領域ですが、土台は変わりません。AIO(LLMO/AI検索対策)と呼ばれる領域でも、独自の事例や数値、自分の頭で下した判断の理由——他所にない情報が、発見されるうえでの強みになります。

露出が増えること自体にも意味があります。検索やAIの回答で名前を目にする機会が増えると、その後に社名やサービス名で直接検索する「指名検索」につながることがあります。

指名で来た人は関心が高いぶん問い合わせに進みやすく、露出がめぐりめぐって成果を押し上げる——という流れは確かにあります。

ただし「露出→記憶→再検索→問い合わせ」と何段も挟んだ話なので、どこかで途切れれば成果までは届きません。実際に効いているかは、Search Consoleで社名やサービス名の検索語が伸びているかを見れば確かめられます。露出は「効くこともある投資」であって、成果の保証ではない、と押さえておきましょう。

そして「AIに引用されること」だけをゴールにすると、「アクセスは増えたのに問い合わせが来ない」という最初の話に戻ってしまいます。引用や表示が増えても、問い合わせにつながるとは限りません。露出を増やしながら、最後は問い合わせや事業の成果まで見届けましょう。

まずは、止まっている一か所を見つける

問い合わせが来ないのは、記事の力が足りないからだとは限りません。集めている層がずれている、記事とサービスの距離が遠い、次への案内がない、そもそも何が効いているか測れていない——多くの場合、どこか一か所で止まっているだけです。そして、その一か所はサイトの状況によって変わります。

だからこそ、まずは全部を直そうとせず、いま自分のサイトで止まっている場所をひとつ見つけてみてください。増えたアクセスは、それ自体がすでに大きな資産です。あとは、その流れを問い合わせまでつなぐ改善を、ひとつずつ進めていけば大丈夫です。

弊社では、集めた読者を問い合わせにつなぐまでの設計を、御社のサイトの状況に合わせて支援しています。「アクセスはあるのに成果が出ない」という段階のご相談でも、まずはどこで止まっているかを一緒に見るところから始められます。お気軽にご相談ください。

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